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メリケン亭

都会の海の家

波止場で気軽に楽しむ酒場

 

 

 ■海の家で味わった幸福感

 子どもたちがまだ小学生だった頃、あなたは夏になると海水浴へ家族で出かけたものだ。子どもたちが波打ち際や砂浜で遊ぶ様を見ながら、海の家でジョッキを傾け、黄金の液体を喉に流し込む。やがて酔いがまわり、ごろりとゴザを敷いた床に寝転ぶ。背中に僅かな砂を感じる。波の音と潮風を肌に浴びながら幸福感がひたひたと寄せてくるのを感じたことがあるだろう。

 そしていま、あなたは夕暮れ時のメリケン亭にいる。場所は、フランク・ゲーリーがつくった巨大オブジェ、フィッシュ・ダンスのすぐ近くだ。砂浜はないが、メリケンの岸壁に打ち寄せる波、行交う通船やタグボート、練習船、クルーズ船、明滅する港の灯りを眺めることができる。開け放たれたドアの外から潮風が吹いてくる。店主自慢のアテをいただきながら、ビール、ワイン、日本酒などで一杯やる。昼は多くの観光客で賑わうメリケン波止場だが、夕暮れからは、カップルや犬の散歩をさせる人などが、ちらほらと見かける程度だ。

 

■千円あれば、楽しめる!

 メリケン波止場は、神戸の中でも飛びっきり有名な観光地である。この素晴らしいロケーションにありながら、メリケン亭の料飲価格はすこぶる安い。「こんなに安くて、いいの?」と、逆に心配してしまうほどだ。ガラス戸に貼ってあるチラシのキャッチフレーズは、「千円あれば、楽しめる!」。この言葉に偽りは無い。 ビール大瓶450円。いまどき大瓶だよ。男だね、ビール好きだね。日本酒も溢れるほど注がれて300円。つまみ類は150円〜。今日のオススメも、250円、350円あたり。千円でもお釣りがくる安さだ。他にも、焼酎の種類の豊富さ、缶詰類と調味料も山のように揃っている。

 それにしても、なぜこんなに安く設定したのだろう? 煉瓦造りの風格ある建物の中にあるメリケン亭は、かつては、通船のための待合所であり、次に海上バスの船客待合所になったところ。閉鎖されたままになっていたこの場所を活用したいと考え、平山好成さん(48歳)が6月1日に、メリケン亭としてオープンさせた。

 

■海とつながる仕事をしたかった

 「大学も仕事も海の関係でした。どこかで海とつがることをしたかった」と平山さん。メリケン亭のコンセプトを“都会の海の家”にした。初めての人でも、一人でも気楽に休憩してもらえるようにした。そのために思いっきり安く価格設定にした。「別にビールやつまみ類を無理に頼まなくてもいいですよ。休憩するだけもOKです。潮風に当たるだけでも気持ちいいですよ」。

 広い店内には昔のメリケン波止場やクルーズ船の写真をはじめ、マリン関係のグッズが数多く展示されている。毎夜、船員さんをはじめ、海関係の常連さんたちで賑わう。もちろん初めての人も平山さんが快く迎えてくれる。あなたも、身近に海を感じながら、心地よい時間を過ごしてみてはいかが。(2011.11.10)

メリケン亭

神戸市中央区波止場町2-7メリケン船客待合所内

TEL : 090-3719-5458

 

営業時間:午後6時〜10時

休  み:土日祝

<メニュー>

瓶ビール(大)450円、生ビール(中)400円、焼酎300円、日本酒300円、酎ハイ300円、ハイボール350円、ワイン350円、500円各種つまみ(枝豆等)150円〜、今日のオススメ250円〜

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