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ちょっと遠く、ホーチミンへ

2009年5月22日(金)〜26日(火)

 

 

スコールの洗礼も悪くない

 滞在中の最高気温は、34度程度だったと思う。湿度で一番ひどいときは、70%くらいか。熱帯サバンナ気候に属するホーチミンは、雨期に入っていたが、日本の梅雨とは様子がかなり違う。
 一言でいえば、日本の梅雨は、停滞前線と名付けられているように、1日中、シトシトと小雨が絶え間なく降り続ける。もう観念するより仕方ない感じになる。だが、こちらの雨期は、雲も、雨も、湿度も、気温も、刻々に変化する。予測がまったくつかない。気まぐれさに支配されている。そして、この気まぐれさを受けいれれば、実はとても気が楽になることを発見した。

ホーチミンの街はバイクだらけ

ココナツジュースがおいしかった

夕食時に突然スコールに見舞われる

水上人形劇に、魅了される

 それほど大きな期待をせずに見学にいったところが、ビンゴ! 大当たり。実に面白い!
 最初は一つのストーリーだと思って見ていた。次から次といろいろな人形が出てきて、なんだか分からないながらも、人形のユーモアな動きと、伝統楽器と歌声を駆使した生演奏の魅力が相まって、どんどん引き込まれていく。そして終わり近くに登場した仙女の舞の可憐なこと、音楽の美しさともに秀逸。耳と目にしっかりと記憶されてしまった。恐るべき、水上人形劇。
 最初、一つの話だと思っていてのは間違いで、19の話がオムニバスのように披露されていく。もともと農民たちが、洪水で氾濫した田畑で楽しみのために始めたそうだ。ベトナムはつくづく「水の国」なんだと実感する。

生演奏付きの水上人劇に拍手

メコン川の水と空ばかり撮っていた

 最もベトナムらしい風景に出会いたくて、メコン川日帰りクルーズに参加した。
 クルーズの拠点の町・ミトーからモーターボートに乗り込み、メコン川へ。目の前に広がるのは、ただただ広大無辺に広がる蒼い空を背景に積乱雲が様々な形で浮かび流れていく姿であり、対岸ま2キロもある川幅に圧倒的な水量を湛え、椰子の実などが流れていく姿だ。空と川の間には、島の緑がかろうじて細く長く横に伸びるばかりだった。
 この光景にただ見とれ、カメラのシャッターを何度も押した。雲の形が変わるので、何枚撮っても同じ風景はないはずだと思って。それほどにメコン川は僕の心を熱帯的感動にどっぷりと浸してくれた。
 ココナツ椰子の生い茂る島の支流では、2人の船頭と客の一人が櫂を操りながら幅4、5メートルほどの間を手こぎ船でうねうねと進んでいく。途中、子どもたちが川で遊んでいたり、親子で川に潜って蟹を捕ったりしている。また、船に吊られたハンモックに寝ている人間も‥。ああ、と僕はため息をつく。彼らは貧乏かもしれないが、とてつもなく豊穣の世界に暮らしている幸せを嫉妬した。

メコン川に浮かぶ島は密林で覆われている

蟹を捕る子どもたち

手こぎ船で島の中にある小さな河を進む

※ダラーガ通信より転載

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