茅壁
日本各地の代表的な民家を移築復元して展示している日本民家集落博物館。とても興味深く見てまわったが、中でも目を引いたのが、長野県の「信州秋山の民家」である。茅葺き屋根はよく見るが、ここは壁も茅葺きであり、「茅壁」とよぶらしい。一般的に使われている「新壁」は、柱の間に竹を細く割った部材を繋ぎ、土を塗るための下地壁をつくらないといけない。お金も手間もかかる。そこで壁も茅葺きにしてしまった。夏は薄く、冬は厚くすることで温度調整もした。風土に合わせた生活の知恵である。火事が出やすいのではないか、と少々気にはなるが。