アルゼンチン・タンゴの歴史
3月22日(日)、海外移住と文化の交流センターで行われた中南米音楽会の第19回「音で聴くタンゴ発展史」に参加した。講師は、名古屋大学大学院国際開発研究科准教授の西村秀人氏。ラテンアメリカの音楽文化が研究対象だが、特にアルゼンチン・タンゴの発展史を専門にされている。
いあや、実に面白い。興味深い。アルゼンチン・タンゴの発祥から現代までタンゴの歴史を、貴重な音源や画像、映像などを交えて説明してもらえるため、分かりやすいことこのうえない。感激の涙がでるくらいだ。
とくに興味深かったのが、アルゼンチンの政治経済状況に応じてタンゴが衰退したり、再興してきたことだ。世界恐慌でタンゴが低迷し、その後、古典タンゴとダンスが復活し、黄金の40年代を迎える。ペロン時代(1945〜1955年)は、文化ナショナリズムの傾向が強まって、フォロクローレとタンゴが隆盛。ぺロン政権が崩壊すると、タンゴはペロン的なものとして冷遇される。その後、ロック音楽が一般的になる。再びタンゴが復活するのは、1986年、ブロードウェイミュージカル「タンゴ・アルゼンチーノ」の大ヒットからであり、さらに1996年のアストル・ピアソラ作品が再評価される。最近では、若手音楽家を中心に、伝統的演奏スタイルの見直しによる活発な演奏活動や、タンゴ学校が開設されるなど、世界的な広がりをみせている。
これらはすべて西村氏から学んだことだ。感謝するばかりである。時間の関係で日本のタンゴが割愛された。次回、機会があればまた参加したい。