ジャニスはなぜブルーだったのか?
ジャニス・ジョプリンといえば、体全体から絞り出すような、あの独特の嗄れた声でシャウトする、希代のロックシンガーである。そのジャニスのドキュメンタリー映画「ジャニス リトル・ガール・ブルー」を元町映画館で見た。この映画は、ジャニスの生い立ちから、27歳でアルコールとヘロインの過剰摂取で急死するまでを丹念に紹介しており、ジャニスがなぜ、あのように歌わなければいけなかったのか、なぜ彼女の歌声が聴く者の魂を大きく揺さぶるのか。その秘密を解き明かしている。
ジャニスは、高校時代、いじめられっこで、同級生達からつまはじきにされ、クリスマスパーティにも呼んでもらえなかった。テキサス大学に進学しても、不男を選ぶ投票で女性であるジャニスに投票する者がいたりして、ひどく傷つく。ブルースが好きでよく歌っていた彼女は大学を中退してサンフランシスコに行き、歌手を目指す。その圧倒的な歌唱力で人気を博した彼女はステージを歌っているときは、バンドやファンとの一体感を感じことができ、幸せだった。でも一人になると孤独で、アルコールやヘロインに手を出した。
大成功を納め、有名になってから、高校のクラス会に出席をしたジャニスを、同級生達は無視し、彼女は高校時代の惨めな自分を思いだし、記者からのインタビューに答える様子は泣いているようにも見え、気の毒で仕方なかった。惨めな自分を忘れさせてくれる歌こそ、彼女の人生そのものだったのだ。